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ホーム > WOOFWOOFマガジン > とぶ(tobu) > From Sweden 春の牧草地に馬を追う北国コーギー北欧の春の1シーンから


一見巨大な馬からすると小さな豆粒のように見えるコーギー。しかしいったん馬追いという仕事にかかると何の躊躇もなく大きな馬たちを追い回す


 ノルウェーとスウェーデンの国境あたり、山、森、湖に囲まれた小さな村、グンナスコッグ。ここにクリスティーナ・シルヴェンさんこと、キッキさんは家族とともに、数頭の馬、そして5匹のコーギーと暮らす。
 時は4月も末。遅い春の到来とともに、キッキさんは冬の間厩舎に狭苦しく住んでいた馬たちを谷間の牧草地に放牧する。馬は一日一日長くなっていく日の光を楽しみ、雪解けのせせらぎ音を聞き、草を食んで過ごす。ただし、春ののどかさに任せて馬たちがそうもゆったりとしていられないのは、5匹のコーギー軍団のせいである。
「犬たち、後ろから馬を追うんですよ。ことあるごとに」
 コーギーという犬種の特性のためだとキッキさんは説明してくれた。
「その昔、牛を追っていたイギリスの犬種ですからね」
 コーギーは英国はウェールズ、ペンブロークシャーという海岸地帯をその故郷とする。羊よりも、牛が多く飼われていたペンブロークシャーにて、牛追い犬として活躍していた。
「だからまるで牛を追うように馬をも追い立てるわけです」


 春になれば、犬だってのびのびとしたくなる。このさい、牛であろうと馬であろうと、関係ない。何かを思いっきり追いたくなる気持ちはよくわかる。
「厩舎から馬を牧草地に放すときは、とてもいい助っ人になるんです」
 砂利路を移動しながらも機会あらば道草を食おうと必ず群れから遅れをとる馬がいる。が、それをコーギー軍団は許すはずがなく、短足犬からは考えられないほどの俊敏さで、右に左に馬を群れに戻し追い立てる。牛追い犬特有の「踵かみつきの技」をも披露することがある。朝、馬小屋から馬を出す時、そして夕方入れる時と、馬追いルーティンをコーギー軍団は毎日果たしてくれる。
「あのコたちのおかげで移動作業はあっという間。人間は何もする必要はないんですから」
 キッキさんは誇らしげだ。うららかな春の日がしばらく続くのだが、コーギー軍団は春眠をむさぼろうともせず、せっせと働く。本来の得意技が生かせるのだから、彼らも同様に誇らしいはずである。



コーギーの足の短さは、その俊敏さとともに馬追いの仕事を難なくこなす武器だ


春の日差しの下、馬追いの仕事の合間にくつろぐコーギー


季節は春。コーギーたちの活躍の季節だ